中古車販売店の倒産動向|2025年は101件、件数の推移と背景を公表値で確認
公開日 2026年10月5日
中古車販売店の倒産は、2024年度から2025年にかけて件数が大きく増えました。東京商工リサーチの集計では、2025年の中古車販売の倒産は101件で、同社が比べている過去10年で初めて100件を超えています。倒産したのは従業員5人未満、資本金1千万円未満の小さな販売店がほとんどです。この記事では、東京商工リサーチと帝国データバンクが公表した記事だけを使って、件数の推移と規模、原因、背景を整理しました。後半では、同じ環境で商売を続ける販売店が資金繰りと在庫回転で見直したい点をまとめています。数字は各記事の公表日時点のもので、今後の件数の予想はしていません。
この記事で確認した一次情報
- 東京商工リサーチ「自動車販売」倒産 新車も中古車も10年間で最多2026年1月20日公表。2025年の年間件数、休廃業・解散
- 東京商工リサーチ 中古車販売店の1-9月倒産82件2025年10月20日公表。規模、原因、地区別
- 東京商工リサーチ 2024年度の「中古車販売店」倒産、1.4倍増の98件2025年4月6日公表。年度の件数、負債、形態
- 帝国データバンク「中古車販売店」の倒産動向(2025年1-5月)2025年6月9日公表。負債規模別、都道府県別
中古車販売店の倒産件数の推移(2024年度〜2025年)
中古車販売店の倒産は、2025年に101件となりました。東京商工リサーチが2026年1月20日に公表した記事によると、日本標準産業分類の「中古自動車小売業」で負債1,000万円以上の倒産は前年比29.4%増の101件で、2016年以降の10年間で初めて100件台に乗っています。新車販売の36件と合わせた「自動車販売」全体は137件で、中古車販売がその73.7%を占めました。年度で見ても増え方ははっきりしています。2025年4月6日の記事では、2024年度(2024年4月〜2025年3月)の中古車販売店の倒産は98件で、前年度の約1.4倍でした。2011年度の104件に次ぐ、13年ぶりの高い水準です。2025年10月20日の記事では1〜9月の時点で82件と、前年同期の1.5倍に増えていました。
| 期間 | 件数 | 前年比 | 出典(公表日) |
|---|---|---|---|
| 2024年度(2024年4月〜2025年3月) | 98件 | 38.0%増 | 東京商工リサーチ(2025年4月6日) |
| 2025年1〜5月 | 50件 | 前年同期32件から56.3%増 | 帝国データバンク(2025年6月9日) |
| 2025年1〜9月 | 82件 | 51.8%増 | 東京商工リサーチ(2025年10月20日) |
| 2025年(1〜12月) | 101件 | 29.4%増 | 東京商工リサーチ(2026年1月20日) |
東京商工リサーチは「中古自動車小売業」で負債1,000万円以上、帝国データバンクは中古車販売店を経営する事業者のうち負債1,000万円以上の法的整理を集計しています。定義が違うので、2社の数字を足したり、直接並べて増減を読んだりしないでください。2025年1〜5月は東京商工リサーチの記事では48件、帝国データバンクでは50件でした。
比べる対象として、過去の山も記事に出ています。東京商工リサーチの2025年10月20日の記事は、過去10年の年間最多を2018年の93件としています。帝国データバンクは2025年1〜5月の50件について、1〜5月で50件を超えるのは2012年以来13年ぶりと書いています。全業種で見ると、帝国データバンクの集計で2025年の企業倒産は1万261件と前年の9,901件を上回りました。中古車販売の増え方は、全体の伸びよりはるかに大きいことがわかります。
倒産した中古車販売店の規模と倒産形態
倒産した中古車販売店の大半は、従業員5人未満の小規模な店です。東京商工リサーチの2025年1〜9月の集計では、82件のうち従業員5人未満が72件で87.8%、資本金1千万円未満が73件で89.0%を占めました。2025年通年でも資本金1千万円未満が89件、構成比88.1%です。負債の規模も小さく、帝国データバンクの2025年1〜5月の集計では「5000万円未満」が33件(66.0%)、1億円未満が40件(80.0%)でした。倒産の形態は破産が中心で、東京商工リサーチの2024年度の集計では98件中91件(92.8%)が破産、民事再生法は3件にとどまります。立て直しを図る前に事業をたたむ例がほとんどだと読めます。一方で、2025年1〜9月は負債1億円以上5億円未満が17件と、前年同期の5件から3.4倍に増えており、中堅規模にも広がりが見えます。
| 区分 | 件数(構成比) | 集計期間と出典 |
|---|---|---|
| 従業員5人未満 | 72件(87.8%) | 2025年1〜9月・東京商工リサーチ |
| 資本金1千万円未満 | 73件(89.0%) | 2025年1〜9月・東京商工リサーチ |
| 負債1億円未満 | 64件(78.0%) | 2025年1〜9月・東京商工リサーチ |
| 負債1億円以上5億円未満 | 17件(前年同期5件) | 2025年1〜9月・東京商工リサーチ |
| 破産 | 91件(92.8%) | 2024年度・東京商工リサーチ |
| 負債1億円未満 | 40件(80.0%) | 2025年1〜5月・帝国データバンク |
2024年度の負債総額は891億6,400万円で、東京商工リサーチは過去最大としています。ただし、この大半は負債831億円の大型倒産1件によるもので、ほかの97件は小規模な案件が中心です。総額だけを見て業界全体の負債が膨らんだと受け取ると、実態とずれます。2025年1〜9月の平均負債額は7,200万円で、前年同期の5,700万円から上がりました。
中古車販売店の倒産の原因と背景
倒産の原因は、販売不振が8割を超えます。東京商工リサーチの2024年度の集計では、98件のうち81件(82.6%)が販売不振でした。その背景として、同社の2025年10月20日の記事は、半導体不足による新車供給の落ち込みと円安による輸出の増加で国内の中古車が「玉不足」になり、価格相場が上がったことを挙げています。仕入価格が上がると、資金に余裕のない店ほど売れ筋の車を仕入れにくくなります。そこへ水道光熱費や人件費の上昇が重なりました。2026年1月20日の記事では、金利上昇による借入負担の増加と、オークションの落札価格が高い水準で推移していることも挙げられています。帝国データバンクの2025年6月9日の記事も、コロナ禍以降の仕入価格の高騰による仕入れの難航と利益率の低下を主な要因に挙げ、小規模業者を中心に破綻が相次いだとしています。
- 仕入価格の上昇と、人気車種の仕入れの難しさ(東京商工リサーチ、帝国データバンク)
- 水道光熱費、人件費、事務所の維持費の上昇(東京商工リサーチ 2026年1月20日)
- 金利上昇による借入の負担増(同上)
- 物価高による価格転嫁の難しさ(帝国データバンク 2025年6月9日)
- 経営者の高齢化と後継者難(東京商工リサーチ 2025年10月20日。1〜9月の後継者難は10件で、2013年以降の同期で最多)
仕入れの環境は、このサイトに掲載しているオートサーバーの月次レポートからも読み取れます。AS自動車業界の動向の2022年7月号は、オークションの出品台数が前年の9割程度で12ヵ月連続のマイナスとなり、各会場のタマ不足で成約率が非常に高く、落札相場も高騰状態が続いていると書いています。2022年3月号では、出品車両に低年式、過走行、低評価の小売りに向かない車両が多い傾向も報告されていました。こうした仕入れの難しさが、2024年度以降の倒産件数の増加と時期を重ねて表れています。相場の動きそのものは中古車価格が高騰した理由でまとめています。
売却代金の未払い・未納車と業界の信用
中古車販売店の倒産は、取引先や一般のお客様にも被害が及ぶ点で注目されています。東京商工リサーチの2025年6月22日の記事は、マイカーを売った代金が入金される前に売却先の業者が破綻した例や、代金を前払いしたのに納車されず返金もされない例を取り上げています。帝国データバンクの2025年6月9日の記事も、一般個人への代金未払いや未納車の問題などによる業界のイメージ悪化を懸念材料に挙げました。お客様から見ると、店の規模や評判だけで取引先の安全性を見分けるのは難しいものです。真面目に商売をしている販売店にとっても、業界全体の信用が下がれば、買取の際に入金のタイミングを細かく確認されたり、前受金を嫌がられたりする場面が増えます。自社の入金と納車の流れを、お客様に説明できる形で整えておく価値は大きいでしょう。
具体的には、買取代金をいつ、どの方法で払うのか、販売時の前受金をいつまで預かり、納車日がずれたときにどう扱うのかを、契約書と店頭の説明でそろえておきます。中古車の販売では2023年10月1日から支払総額の表示が義務になっています。価格表示と同じく、代金の受け渡しの説明もお客様の不安を減らす材料になります。
休廃業・解散の増加
倒産に数えられない形で店を閉じる中古車販売店も増えています。東京商工リサーチの2026年1月20日の記事によると、2025年の中古車販売の休廃業・解散は128件で、前年比48.8%増でした。新車販売は262件で4.8%増です。倒産は負債1,000万円以上の法的整理などを数えたもので、資産が負債を上回るうちに自主的に事業をやめる休廃業・解散は含まれません。両方を合わせると、2025年に市場から退いた中古車販売の事業者は、倒産の101件よりかなり多いことになります。同じ記事では、中古車販売の売上高が2兆1,261億8,200万円と前期比12.4%増えた一方で、利益率は2.1%と前年の2.2%から下がったとされています。売上が伸びても手元に残る利益が薄くなっている、という構図です。帝国データバンクが2026年1月9日に公表した全業種の集計でも、休廃業した企業の経営者の平均年齢は71.5歳で過去最高でした。
中古車販売店が資金繰りと在庫回転で見直したい点
倒産の記事から読み取れる共通点は、仕入価格の上昇で1台あたりの利益が薄くなり、そこへ固定費と借入の負担が重なったことです。販売店がまず見直したいのは、在庫1台ごとの仕入れ値、整備や加修にかけた費用、店頭での日数を一覧で見られる状態にしておくことです。仕入れ値が高い時期は、売れるまでの日数が延びるほど、借入の利息や展示場の費用が利益を削ります。何日を超えたら値下げするか、業者向けに売るかを、仕入れの時点で決めておくと判断が遅れません。具体的な日数は店の規模や車種で違うので、自社の過去の販売データから決めてください。資金繰りの面では、仕入れの支払期日と、お客様からの入金、ローン会社からの入金の時期を月ごとに並べておくと、手元資金が足りなくなる月を前もってつかめます。
- 在庫ごとに仕入れ値、整備費、展示日数、現在の売値を一覧にする
- 値下げや業販に回す日数の目安を、自社の販売実績から決めておく
- 仕入れの支払期日と入金予定を月ごとに並べ、資金が薄くなる月を先に把握する
- 買取代金の支払時期と前受金の扱いを契約書と店頭説明でそろえる
- 借入の金利条件と返済予定を見直し、金利が上がったときの負担を試算しておく
- 後継者がいない場合は、早めに事業承継や事業譲渡の相談先を決めておく
売れ残った在庫を店頭に置いたまま値下げを重ねるより、店頭で売りながら業者向けにも出しておく方法があります。オートサーバーのASワンプラは、店頭での小売販売と並行して会員向けに出品できる共有在庫の仕組みで、公式サイトでは出品料0円(自社検査)、成約時に15,000円(税別)と案内されています。仕入れの側でも、オークションのセリに加えて、業販価格が決まっている車から選べると、予算の上限を守りやすくなります。仕組みと使い分けはASワンプラとはで解説しました。
中古車の仕入れルートを広げるなら ASNET(エーエスネット)
ASNETは古物許可証を持つ中古自動車の取扱事業者が入会でき、入会金と月会費は0円です。全国のオークション会場の出品車と会員の共有在庫から仕入れ先を選べるので、仕入れルートを増やして在庫の回し方を見直したい販売店に向いています。カーネット経由の入会特典は案内ページで確認してください。
まとめ
東京商工リサーチの集計では、中古車販売の倒産は2024年度が98件、2025年が101件と、ここ10年あまりで最も多い水準になりました。倒産したのは従業員5人未満、資本金1千万円未満の店が9割近くを占め、原因の8割以上が販売不振です。背景には、新車の供給減と輸出増による玉不足で仕入価格が上がったこと、光熱費や人件費、金利の上昇があります。休廃業・解散も2025年に128件へ増えました。販売店ができる手当ては、在庫ごとの日数と原価を見える形にし、入金と支払の時期を月ごとに把握しておくことです。最新の件数は、両社の公表記事で確認してください。
よくある質問
- 2025年の中古車販売店の倒産件数は何件ですか?
- 東京商工リサーチが2026年1月20日に公表した記事では、2025年の「中古自動車販売」の倒産(負債1,000万円以上)は101件で、前年比29.4%増でした。同社の集計で過去10年に初めて100件台に乗りました。新車販売の36件と合わせた「自動車販売」全体では137件です。
- 東京商工リサーチと帝国データバンクで件数が違うのはなぜですか?
- 集計の定義が違うためです。東京商工リサーチは日本標準産業分類の「中古自動車小売業」で負債1,000万円以上の倒産を数え、帝国データバンクの2025年6月9日の記事は中古車販売店を経営する事業者のうち負債1,000万円以上の法的整理を対象にしています。2025年1〜5月は東京商工リサーチが48件、帝国データバンクが50件でした。比べるときは同じ調査会社の数字どうしで見てください。
- 倒産した中古車販売店はどんな規模が多いのですか?
- 東京商工リサーチの2025年1〜9月の集計では、82件のうち従業員5人未満が72件(87.8%)、資本金1千万円未満が73件(89.0%)でした。帝国データバンクの2025年1〜5月の集計でも、負債1億円未満の小規模倒産が40件で全体の80.0%です。小規模な販売店に集中しています。
- 倒産の原因として何が挙がっていますか?
- 東京商工リサーチの2024年度の集計では、原因の82.6%(81件)が販売不振でした。背景として、新車の供給の落ち込みや円安による輸出の増加で国内の中古車が玉不足になり、仕入価格が上がったこと、水道光熱費や人件費の上昇、金利上昇による借入負担などが挙げられています。2025年1〜9月は後継者難も10件ありました。
- 倒産の動きは今後どうなりますか?
- この記事では件数の見通しを書いていません。最新の件数は、東京商工リサーチのTSRデータインサイトと帝国データバンクのレポート記事で確認してください。どちらも業種別の特集記事を不定期に公表しています。
- 中古車販売店で、仕入れ・在庫・販売の管理をまとめて行う方法はありますか?
- 仕入れ値・整備費・売値・在庫日数を1か所で見られるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う店は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の公表記事をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。
- 東京商工リサーチ「自動車販売」倒産 新車も中古車も10年間で最多(2026年1月20日):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202320_1527.html
- 東京商工リサーチ 中古車販売店の1-9月倒産82件 年間最多を更新へ(2025年10月20日):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201920_1527.html
- 東京商工リサーチ 代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増(2025年6月22日):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201483_1527.html
- 東京商工リサーチ 2024年度の「中古車販売店」倒産、1.4倍増の98件(2025年4月6日):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201238_1527.html
- 帝国データバンク「中古車販売店」の倒産動向(2025年1-5月)(2025年6月9日):https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250609-chuukosya1-5/
- 帝国データバンク 倒産集計 2025年12月報(2026年1月13日):https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20260113-bankruptcy202512/
- 帝国データバンク 全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年)(2026年1月9日):https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260109-kyuhaigyo25y/
- オートサーバー ASワンプラ出品:https://www.autoserver.co.jp/service/sell/?box=1
- AS自動車業界の動向 2022年(オートサーバー月次レポート):https://info-q.j-carnet.co.jp/index.php/automotive_industry_trends/as2022/
