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中古車市場コラム

中古車価格が高騰した理由|新車供給・円安・輸出の影響を資料で確認

公開日 2026年10月5日

2021年から2022年にかけて、オークションで「前と同じ予算では落とせない」と感じた販売店は多かったはずです。中古車価格が高騰した理由として、半導体不足、円安、輸出の増加がよく挙げられます。この記事では、それぞれの理由が実際の数字にどう表れているかを確かめました。材料は、このサイトに掲載しているAS自動車業界の動向(オートサーバー発行)の月次レポート2021年8月号〜2023年5月号と、自販連の新車販売台数・輸出抹消登録台数、日本銀行の為替相場、株式会社ユー・エス・エスのオークション月次データです。理由ごとに、どの資料のどの数字で確かめたかを書いています。資料で確かめられなかった要因は、その旨を明記しました。

この記事で確認した一次情報

中古車価格が高騰した理由(資料で確かめた3つの流れ)

中古車価格が高騰した理由は、資料で確かめると3つの流れに分かれます。1つ目は新車の減産で下取車が減り、オークションの出品台数が落ちたことです。AS自動車業界の動向では、2021年8月から2022年9月まで14か月続けて出品台数が前年を下回りました。2つ目は、少ない車を取り合う形になって成約率が上がったことです。USSの成約率は2022年8月に72.1%に達し、成約車両単価は2022年9月に122万1千円と前年同月の132.3%でした。3つ目は円安と輸出で、日本銀行の統計ではドル円の月中平均が2021年8月の109.82円から2022年10月の147.16円へ動き、自販連の輸出抹消登録台数は2023年に146万7,444台(前年比117.1%)へ増えています。1つ目と2つ目は2021年〜2022年の高騰の中心で、3つ目は2023年以降の高い水準とも重なります。

理由確かめた数字と出典
新車の減産と下取車の減少自販連・全軽自協の新車販売台数(登録車+軽)は、2022年1月〜6月が2,086,161台で前年同期の84.6%だった。
オークション出品減と高い成約率USSの成約率は2022年8月に72.1%、成約車両単価は2022年9月に122万1千円まで上がった。
円安と輸出の増加日本銀行の統計でドル円は2022年10月に147.16円となり、自販連の輸出抹消登録台数は2023年に1,467,444台へ増えた。

新車の供給停滞と下取車の減少

中古車価格の高騰の出発点は、新車が予定どおり作れず、下取りで入ってくる中古車が減ったことです。AS自動車業界の動向 2021年8月号は「新車の供給不足による下取車の減少など、玉不足が当面続く」と書きました。2021年11月号は、半導体不足と東南アジアでの新型コロナ感染症による部品供給の停滞で新車メーカー各社が減産・生産調整を迫られ、下取り車両が激減したと説明しています。2022年4月号ではウクライナ危機が加わり、2022年6月号と7月号は、ディーラー各社の出品が激減し各会場が集荷に苦しんでいると伝えました。数字でも確かめられます。自販連・全軽自協の新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は、2022年1月〜6月が208万6,161台で前年同期の84.6%、2022年5月単月は26万1,431台で前年同月の81.9%でした。2022年通年は420万1,262台(94.4%)です。

新車の供給が戻り始めると、オークションの様子も変わりました。2022年9月号は「新車の供給も回復傾向となってきた」と書き、翌10月号ではオークション出品台数が15か月ぶりに前年を上回っています。2023年5月号によると、2023年5月の新車販売台数は32万6,730台(前年同月比25.0%増)で9か月連続のプラスとなり、レポートは前年の上海の都市封鎖などによる部品供給網の混乱が和らいだと説明しました。2023年通年の新車販売台数は477万8,861台(113.7%)です。新車の台数が戻った時期と、オークションの出品台数が増えた時期はほぼ一致しています。

年新車販売台数(登録車+軽自動車、前年比)
2022年4,201,262台(94.4%)
2023年4,778,861台(113.7%)
2024年4,421,234台(92.5%)
2025年4,565,503台(103.3%)
2026年1月〜6月2,387,096台(101.8%)

オークションの出品減と成約率の上昇が価格を押し上げた流れ

オークションで中古車価格が上がる仕組みは、出品台数と成約率の組み合わせで説明できます。出品が減ると、同じ台数を仕入れたい販売店が少ない車に入札するため、落札価格が上がり、売れ残る車が減って成約率も上がります。AS自動車業界の動向 2021年10月号は、出品台数の減少で「相場と成約率の高騰により、落札しづらい状況が続いている」と書き、2022年1月号も2021年7月下旬頃から全体的なタマ不足となり、成約率が高く相場も高いと伝えています。USSの月次データでも、2021年4月〜2022年2月の累計成約率は65.7%で前年同期の62.9%を上回り、成約車両単価の累計は90万9千円(前年同期比117.9%)でした。2022年8月号には、お盆休み明けの成約率がほとんどの会場で2〜3%上がり、成約単価も上がったとあります。出品される車の中身も、2022年3月号の時点で低年式・過走行・低評価の車が多かったと記録されています。

  • 2021年9月号:「中古車流通相場が2割程度上昇との声」。鉄スクラップ相場の上昇にも触れている。
  • 2021年11月号:AA ワンプラへの出品台数が「極端に減少」。
  • 2022年6月号:成約率が再び上昇し、相場も高騰の傾向が続く。
  • 2022年9月号:AA落札は前年同月の9割程度で、9か月連続のマイナス。

鉄スクラップ相場の上昇は2021年9月号に一度出てきますが、この記事では鉄スクラップの価格統計を開いていないため、どの程度効いたかは書きません。2020年の夏については、2021年8月号が「コロナ禍特需」で落札や入札が多かったと振り返っています。

円安と中古車輸出の動き(輸出抹消登録台数と為替)

円安と輸出は、2023年以降の中古車価格が高い水準にとどまった時期と重なる要因です。日本銀行の主要時系列統計データ表で、東京市場のドル円スポット17時時点の月中平均を見ると、2021年8月は109.82円、2022年10月は147.16円、2023年10月は149.59円、2024年6月は157.90円で、2026年7月は162.45円でした。円安になると海外の買い手から見た日本の中古車は割安になります。自販連が公表する輸出抹消登録台数(登録車)は、2022年の125万2,995台から2023年に146万7,444台(117.1%)、2024年に160万5,251台(109.4%)、2025年に164万727台(102.2%)へ増え、2026年1月〜8月も117万6,041台(108.8%)と前年を上回っています。輸出向けの買い手が国内のオークションで競り合えば、国内の販売店が仕入れる値段にも影響します。

年輸出抹消登録台数(自販連、前年比)ドル円 12月の月中平均(日本銀行)
2021年1,287,667台113.88円
2022年1,252,995台(97.3%)134.85円
2023年1,467,444台(117.1%)144.09円
2024年1,605,251台(109.4%)153.72円
2025年1,640,727台(102.2%)155.85円

輸出抹消登録台数は、輸出のために登録を抹消した登録車の台数で、軽自動車は含みません。AS自動車業界の動向 2023年5月号も、ASワンプラの今後について「輸出動向や小売市場の動向には引き続き注視する必要がある」と書いています。財務省の貿易統計の輸出台数とは定義が異なります。為替と輸出台数の関係はこの2つの統計からは因果まで言えないため、時期の重なりとして示しています。

2024年以降の中古車価格の再上昇

中古車価格は2023年に一度落ち着いたあと、2024年から再び上がりました。USSの成約車両単価は、2023年4月に88万3千円(前年同月比95.0%)、2023年9月に107万4千円(88.0%)と前年を下回る月が続き、2024年3月期の累計は104万9千円で前期比98.4%でした。この時期はAS自動車業界の動向でも、2022年11月号以降、成約率の下落と再出品車両の増加が繰り返し書かれています。ところが2024年4月の単価は112万2千円で前年同月比127.1%、5月は120万3千円で126.6%となり、2025年3月期の累計は121万6千円(115.9%)まで上がりました。2026年3月期は125万9千円(103.5%)、2026年2月の単月は138万円です。2024年以降の上昇の理由を説明した公表資料はこの記事では確認できていないため、理由は書かず、数字だけを示します。

月USS成約車両単価(前年同月比)と成約率
2022年9月122万1千円で前年同月の132.3%、成約率は69.5%だった。
2023年9月107万4千円で前年同月の88.0%に下がり、成約率は64.8%だった。
2024年9月124万円で前年同月の115.4%に戻り、成約率は68.3%だった。
2025年9月130万3千円で前年同月の105.1%、成約率は70.3%だった。
2026年7月134万5千円で前年同月の108.1%、成約率は63.8%だった。

中古車価格の高騰期に販売店が見直したいこと

中古車価格が高い時期に販売店が見直したいのは、仕入れルートの数と、仕入れ値から売値を決める手順です。AS自動車業界の動向 2022年7月号と8月号は、オークションのセリで落札しにくくなった会員がASワンプラ(共有在庫)に流れ、その落札が前年同月を1割ほど上回ったと書いています。2023年4月号では、仕入れスタイルのワンプラ化を新たなトレンドとしています。セリ、ワンプライス、共有在庫、自店の下取りと買取のうち、2つ以上を使える状態にしておくと、出品が減った月にも台数を確保しやすくなります。値付けでは、仕入れ値に整備費と諸費用を足した原価を1台ずつ記録し、在庫日数と並べておくと、高値で仕入れた車をいつまで抱えるかの判断が早くなります。中古車は2023年10月1日から支払総額の表示が義務になっているため、原価が上がった分も含めて総額で比べられる売値を付けることになります。

  • 仕入れルート:オークションのセリ、ワンプライス出品、共有在庫、下取り、買取を並べ、月ごとの比率を見る。
  • 原価の記録:仕入れ値、陸送費、整備費、諸費用を車両ごとに残す。
  • 在庫日数:高値で仕入れた車ほど、値下げの時期を先に決めておく。
  • 相場の確認:車種ごとの落札相場で、年式と走行距離をそろえて比べる。

2021年以降の相場の推移は中古車相場の推移に、新車の台数との関係は新車販売台数の推移と中古車市場への影響にまとめています。

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ASNETの入会案内を見る(カーネット経由)オートサーバーとは?

よくある質問

中古車価格が高騰した一番の理由は何ですか?
AS自動車業界の動向の2021年〜2022年の各号が繰り返し挙げているのは、新車の減産による下取車の減少です。2021年11月号は、半導体不足と部品供給の停滞で新車メーカーが減産し「下取り車両が激減」したため、各会場が出品の集荷に苦しみ、高成約率と相場高騰が続いたと書いています。オークションに出る車が減り、少ない車を多くの販売店が取り合った結果、価格が上がりました。
円安は中古車価格の高騰に関係していますか?
日本銀行の統計では、ドル円の月中平均は2021年8月の109.82円から2022年10月の147.16円まで円安が進み、2024年6月は157.90円でした。同じ時期に、自販連の輸出抹消登録台数は2022年の125万2,995台から2023年の146万7,444台(117.1%)へ増えています。二つの動きは時期が重なっていますが、この統計だけで円安が価格をいくら押し上げたかは計れません。
中古車の輸出はどれくらい増えているのですか?
自販連が公表する輸出抹消登録台数(登録車)は、2021年が128万7,667台、2022年が125万2,995台、2023年が146万7,444台、2024年が160万5,251台、2025年が164万727台です。2026年1月〜8月は117万6,041台で、前年同期の108.8%でした。軽自動車はこの数字に含まれません。
中古車価格の高騰は終わったのですか?
一度は落ち着きました。AS自動車業界の動向 2022年12月号に「相場の高騰が落ち着き」とあり、USSの成約車両単価も2024年3月期の累計で前期比98.4%に下がっています。その後、2025年3月期は121万6千円(115.9%)、2026年3月期は125万9千円(103.5%)と再び上がりました。先の値動きは、自販連の台数やオークション会社の月次データで毎月確かめてください。
高騰期に仕入れの台数を確保する方法はありますか?
AS自動車業界の動向 2022年7月号と8月号は、オークションで落札しにくくなった会員がASワンプラ(共有在庫)に流れ、その落札が前年同月を1割ほど上回ったと書いています。セリだけに頼らず、価格が先に決まっている共有在庫やワンプライス出品、下取りや買取の強化を組み合わせると、仕入れの選択肢が増えます。
中古車販売店で、仕入れ・在庫・販売の管理をまとめて行う方法はありますか?
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